おきばしょ

記録です。

狂骨の夢/京極夏彦

京極夏彦/百鬼夜行シリーズ三作目。

 

京極夏彦にはまってから1か月が経とうとしています。
書楼弔堂シリーズを寝かせてから早3年の月日が経ち、何気なく読みかけのソレを手に取り読んだところどっぷり浸かってしまったあの日から1か月。

書楼弔堂をシリーズを読み終え、百鬼夜行へと突入しまして、

三作目の「狂骨の夢」でございます。

 

だんだん関口くんが愛おしくなってくる魔法にでもかかっているんでしょうか。
関くんがいなかったらこの物語は進まないのではないかというくらい妙に存在感を醸し出してくるんですよね…にしても文庫本で鈍器のようなこの厚さに慣れている自分に驚いています。
いや、厚ければ厚いほどわくわくするのですが如何せん重いので、出勤に持っていくのが億劫だったのにその過去の私は何処へ。
頭とともに腕力も鍛えられているに違いありません。

 

さて、肝心の内容ですが、

今回は前2作に比べミステリー色が強かったと言えるのではないでしょうか。

金色髑髏事件、逗子湾生首事件、二子山集団自殺事件、兵役忌避者猟奇事件、朱美の家族が焼死した事件、各地を掘り歩く謎の神主事件…すべての謎をひとつに解き明かす(祓う)内容となっています。
相も変わらず、前半の京極堂の存在感は皆無ですが、後半の存在感たるや…
猟銃を向けられても怒鳴られてもなにをしても動じない。
良いですね~。

関口くんは今回それほど事件にかかわっていないからか安定していましたね。
降旗くんのほうが危うい。

京極堂も述べていましたが、降旗とは違って関口は簡単に「そっち側」に行ってしまうというセリフに、わかってるな~と思いました。
降旗くんが関口を少し敵対(?)しているのがなんとなく面白かったです。

 

 

今回も知らないことがたくさんでてきたことが楽しくてしょうがなかったです。
読書の醍醐味を存分に味わえました。
とくに宗教に関して明るくないのでまず密教とはなんぞやということから始まりました。勉強不足ですね。

フロイトの夢診断、ユングの考察、南北朝時代の禁忌、仏教、神道密教、文観、仏具、古事記、神話等々…ついていくのに必死でした。
とくに南北朝時代がキーとなる話だったこともあり、歴史観念があやふやになってしまっていた私はどっちがどっちでいつ誰が統一して…と混乱の極み。
これを機に勉強し直します。

それにしてもよく考えればわかることなのですが、たしかに戦前~戦時中の日本において南北朝時代はタブーの歴史ですよね。
神として絶対的な天皇が2つに分かれて戦った時代に加えて明治政府が南朝が正としてしまったんですものね。
目線を変えると見えてくることってたくさんあるのだなあと実感しました。
そこに”ある”事実も視点を変えることで見えるものが異なる…これは気を付けて過ごしていかないとだめです。自戒です。

 

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・参考

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