おきばしょ

記録です。

OLD

シャマランの最新作「OLD」を観に行ってきました。
私にとっては初めての劇場シャマラン。映画友達と行きました。この日は「TOM BOY」も観ていたため、初めて人とはしご映画をしました。楽しかった。

映画「OLD」よかったです。

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「時間」が大きな軸となっていることは予告等触れる中でわかっていました。老いるということすなわち時間の経過ですから。
でも観終わったあとにここまで時間について考えることになるとは思いませんでした。正直。
これまでのシャマラン作品も同様に軸のはっきりしているスリラーが主であったと思っているのですが、ここまでじわじわとその軸について考えさせられることはなかったように感じます。それほど時間について考えさせられてしまいました。(私自身が時間に対してとても慎重で臆病だということも起因しているかもしれませんが)

 

・あらすじ

シックス・センス」「スプリット」のM・ナイト・シャマラン監督が、異常なスピードで時間が流れ、急速に年老いていくという不可解な現象に見舞われた一家の恐怖とサバイバルを描いたスリラー。人里離れた美しいビーチに、バカンスを過ごすためやってきた複数の家族。それぞれが楽しいひと時を過ごしていたが、そのうちのひとりの母親が、姿が見えなくなった息子を探しはじめた。ビーチにいるほかの家族にも、息子の行方を尋ねる母親。そんな彼女の前に、「僕はここにいるよ」と息子が姿を現す。しかし、6歳の少年だった息子は、少し目を離したすきに青年へと急成長していた。やがて彼らは、それぞれが急速に年老いていくことに気づく。ビーチにいた人々はすぐにその場を離れようとするが、なぜか意識を失ってしまうなど脱出することができず……

ありがちな設定といえばそうなのですが、シャマランだったらこの設定をどうするかなという気持ちで観に行きました。決して熱心なシャマランファンではないのですが、彼の制作する映画に対してどうしてもこのワクワク感を抱いてしまいます。

 

・制作陣

オールド (2021/アメリカ/109分)
原題:OLD

監督・脚本・製作 M.ナイト・シャマラン

撮影 マイク・ジオラキス

原案(「SANDCASTLE(原題)」) ピエール・オスカル・レヴィ、フレデリック・ペータース
だそうですが、原案ノベルを忠実に映画化したわけではないとしています。

出演 ガエル・ガルシア・ベルナル、ヴィッキー・クリープス、ルーファス・シーウェル、アレックス・ウルフ、トーマシン・マッケンジー

配給 ユニバーサル・ピクチャーズ

 

監督はシャマラン、彼の15作目となる作品です。
彼のインタビューでも度々語られるように今回のOLDもアンドレイ・タルコフスキーに影響を受けています。私は恥ずかしながらタルコフスキー作品は挫折しているのですが、ここまで多くの映画監督が影響を受けているとなると、観なくてはならないですね・・・挑戦してみよう…と思います。

撮影はマイク・ジオラキス、シャマランとも何度か共闘しています。
シャマラン以外にはデヴィッド・ロバート・ミッチェルの映画をいくつか撮影していますね。撮影方法についてあまり詳しくないのですが、「アス」の時も感じた、独特で恐怖感を煽る撮り方が上手だなあというのが印象的な撮影監督です。
怖いという感情を役者の演技に上乗せして表現できるこれからが楽しみな一人です。とはいえ青春映画も何本か撮っているみたいなので見てみます。

出演に関しては、見たことあるな〜という役者ばかりでした。
成長によって役者を変えたりメイクを行ったりどうやっているんだろう…みたいな間接的なことについ思いを馳せてしまいました。
ガエル・ガルシア・ベルナル、ヴィッキー・クリープスについては上手だなあとただただ感じました。さすがですね。

 

・感想

シャマランの作品はどんでん返しを期待されることが多いです。とかく私も先述した通りありがちなストーリーをどうやってシャマランワールドに起こすのだろうと楽しみにしていました。正直どんでん返しという点では楽しくなかったというのが率直な意見です。シャマランらしさがあまり発揮できていないのか意図的なのかわかりませんが。
しかしそんな作品だからこそ前作までとは少し違うな〜と感じた点がありました。

まずこれはスリラー映画全般というよりこの世にある全ての作品に言えることなのですが、結果だけ知りたければネタバレのブログや人から聞けばいいのです。
わざわざ全て見たり読んだり触れる必要はない。
結果だけが知りたい欲を埋められれば良いのです。
実際最近は知識として知りたいような需要?が多くあり、そういったものも見受けられるのですが、現実世界の概ね、制作する側としては確実に違うと思うのです。

表現したいもの、伝えたいものに対して、どんな媒体で発信するか、どのような表現方法を行うかなど、監督という立場の人間は熟考し結果はどうであれ発信するのです。

シャマランの映画にはメッセージがあります。これまでもありましたし、きっとこれからもあるでしょう。
そのメッセージがOLDではとてもわかりやすかった、平凡な人間にも伝えたいメッセージがなんなのかはっきりしていたと感じました。
要するにスリラー映画だとしても行間に何を感じるか、どんなメッセージを受け取れるか、が「映画」として楽しむ上で重要になってくるの要素であり、今作ではここの伝わり方が非常に明確でした。

老いるということは時間の経過です。
時間とは誰もに平等に与えられたものです。
時間の使い方をどうするか。時間とは何か。限られた時間の中でどう生きるかなど。

時間に対しての焦燥感、絶望感、絶対観が歳を取るにつれて受け入れられていく、
ガイとプリスカの死間際の会話からも見受けられました。明確に。

これも先述しておりますが、私自身時間に対してとても臆病な節があります。
それゆえ過剰に受け止めてしまっただけかもしれません。
とはいえ時間ってとてもわかりやすい命題なんですよね。逆にわかりやすいが故にシャマランらしさがないなどと批評が出ているわけです。(ごめんなさい)

この点が大きくこれまでのシャマラン作品とは異なっていたのかなと思います。
私はとても好きでした。色々と考えるきっかけになったので。


次回作ともに楽しみです。

theriver.jp

 

https://www.crank-in.net/interview/93386/1

 

いや、あとこの映画フィルムで撮影されているんですよね?
正気か?と思いました。すごい、すごいな〜シャマラン自費でフィルム撮影でコロナ禍で・・・って本当に映画にかける情熱が恐ろしい。確かにデジタルよりは南国の温かみのある映画が撮れるとは思いますが、だからと言ってフィルムか…

最後までお付き合いいただきありがとうございました。