裸足の季節
裸足の季節を観ました。
何がきっかけであったかは忘れてしまったのですが、配信動画サービスのマイリストに追加されたまましばらく時間が経っていました。軽い気持ちで観始めたのですが、これが大正解の映画でした。
2015年のカンヌ国際映画祭で公開、88回アカデミー賞では外国語映画賞のフランス代表作品にノミネートされており、41回のセザール賞では4部門受賞している映画なのでよく知られている作品であると言ってよいでしょう。わたし自身もどこかで見かけてイメージとして残っていたのでマイリストに追加していたのかもしれません。
ところで、配信サービスのマイリストの使いかたってどういう使われ方を想定しているのでしょうか。個人的に観たい映画をどんどこ入れて、観終わったら削除していくような使いかたなのですが、これは合っているのか?
映画を語りあえる知人がいないのでどうなんだろうと最近疑問に思っていることです。
「裸足の季節」はトルコが舞台となっています。
両親を亡くした5人姉妹が1000km離れた土地で祖母、叔父と暮らしながら学校生活を謳歌していますが、祖母と叔父の古い慣習、しきたり、封建的な思想のなかで、だんだんと自由がなくなっていく…というお話。
監督はデニズ・ガムゼ・エルギュヴェン
彼女はこれが初の長編映画です。2年後には「マイサンシャイン」というダニエル・クレイグが主演の映画を撮っていますね、アクション以外のダニエルを観る機会があまりないので、おお~と思っていました。(最近はたまに見かけますが)
主演は ギュネシ・シェンソイ 、ドア・ドゥウシル、トゥーバ・スングルオウル、エリット・イシジャン、イライダ・アクドアンら。
みんなはじめましての役者。役者経験もあまりないのにも関わらず、めちゃくちゃ演技がうまくてびっくり。これからも映画業界にいてほしいなあ。
内容はあらすじの通り、封建的な思想のもとで自由を求める女の子たちを描いています。トルコは比較的自由そうだななどと思っていたのですが、なかなか考えさせられちゃいます。映画の内容をまるっと鵜呑みにすることはなくても。
以前何かの本で
「伝統、しきたり、歴史を守ることはよいことではあるが、人権問題とは別にして考えなくてはならない」
と読んだ際、当たり前のことなのにも関わらず目からうろこというか、意識していなかったなと衝撃を受けたことがありました。その衝撃をこの映画で映像化されたなあと。
人間の人権というものは、とくに弱者にとっての人権は、絶対に虐げられてはならないものなのに、伝統やしきたりという言葉をふりかざしあたかも正しいと信じて剥奪する…。しきたりを守ることによって失われる人権なんてあってはならないと思うんです。文明が発達してもなお受け入れられないことが世界中には腐るほどあります。渦中にいることで我々日本人も気づいていない事案があるのかもしれないですね、鈍感になりすぎているだけで。
メッセージ性の非常に高く、美しい作品でした。
にしても日本公開時のパッケージ、ほんとうにあ~あとと思うんですが、ちゃんと作品をみてパッケージつくったのかな~「見た後には、すがすがしさと勇気がもらえる」って本当ですか?本当にそう思ったのなら、そのひとの感性は現代とまったく合っていないので、アップデートしたほうが良いのでは。すがすがしさ…?脱走した2人のこれからを思ったらそんなことは言えない…