おきばしょ

記録です。

カイロ紫のバラ

カイロ紫のバラを観ました。

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思ったより切なくて見終わった時に呆然としてしまいました。

 

 

1985年に製作、公開され英国アカデミー賞セザール賞最優秀外国映画賞を受賞しています。

監督はウディ・アレン

先日の監督最新作レイニーデイ・イン・ニューヨークが彼自身の監督作50本目だったようで、インタビューにて一番気に入っている作品が「カイロ紫のバラ」だと述べていました。

出演はミア・ファロージェフ・ダニエルズダニー・アイエロエドワード・ハーマンら。

特にミアの演技は役者人の中でも光っていて最高だなあと思いました。無垢な表情を演じるのは怒っている表情や艶やかな表情を演じるより、難しくなると思うのでセシリアを演じたミアはとても上手だなと。
そして最近のジェフからは想像できない若かりし頃のジェフを観てこんな感じだったんだ〜と勝手に感慨深くなりました。

 

舞台は1930年代の大恐慌後のニュージャージー州です。
ニュージャージー州大恐慌前の産業革命時にとても繁栄していたため、打撃も大きかったのかな。専門ではないので詳しくどうだったかまでは存じ上げないのですが。

その中で、妻のセシリアはウェイトレスをし失業中の夫モンクとの生活を支えています。ここで描かれるウェイトレスのセシリアは、鈍臭いのと夢夢しさをよく表現しているなあと思うんですよね。全く使えない人間として描かれています。

働いている以外、彼女は映画館に通っています。
映画自体を好きだから通っているのだとは思うのですが、単にそれだけではなく、うんざりするような結婚生活に嫌気がさしているので観ているとも取れます。
通っている映画館で上映されている「カイロの紫のバラ」はもうすでに何十回と観ている映画です。彼女のお気に入り。
そのスクリーンから突如出てきた(?)トムが、「何度も観にきてくれるよね」と彼女の手をとり映画館から出てしまいます。困惑しながらも簡単に受け入れ、夢のような時間を過ごすのですが、スクリーン上から消えたトムに気づき本物の役者(同一人物)がやってきて…という物語。

 

基本的にストーリーとして「夢を見ること」「現実をみること」「映画が好きなこと」の3本の柱で構成されているなあと思います。 

とても切ないと思ったのですが特に途中シーンの「現実を選ばなくちゃいけないのよ」台詞と、ラストの映画を観ているシーンの表情が切なすぎました。
でもこんなことがあっても、主人公セシリアは全てを思い出として消化できるんだろうな〜とも確信できてしまうので不思議な映画です。ラスト、映画を観終わったセシリアはきっと荷物をまとめて出てきたあの家に戻るのでしょう。
決して諦めているのではなく、また諦めを受け入れているのでもなく、物事をうまく消化できる強さをもっているのだろうと思います。

そういう強さを持っているセシリアはこの作中にでてくる誰よりも強くて美しかったです。そしてその演技をこなすことのできるミア・ファローが今回は優勝です。うますぎました。
物分かりの悪そうな女、夢に生きる女、心の底から映画が好きですという表情、彼女の演技が完璧にセシリアを作り上げていて、ミラ・ファローありきのセシリアだと言えるでしょう。

また「人は選択する自由があるの」という台詞からの裏切りのラスト(?)は意地悪だなあと思いましたが、フィクションのセンチメンタルさを表現するには確かにこの結末になるわ…となりました。


ウディアレン…よい映画とよくない映画の差が激しすぎますね…これはとっても良かったです。

 

ミア・ファローウディ・アレンといえば、HBOが配信している「ウディ・アレンVSミア・ファロー」を観始めました。うーん、監督としては評価できると思うのですがこれら問題は看過できないものですよね。個人的にあまり知らないので意見を持っているとかはないのですが、どう落ち着くのか見守りたいと思います。